動画編集用SSDを「4Kだから2TB」と決めると、撮影量が少ない人には過剰で、複数案件を扱う人には不足します。必要な容量は撮影素材の実サイズ×保存期間に、プロキシ、キャッシュ、書き出し、空きの余裕を足して計算します。先に手元の3本の素材を測れば、購入判断がかなり具体的になります。
結論:作業用、保管用、バックアップを分けて見積もる
編集作業の速さを求めるドライブと、完成素材を長く置くドライブは役割が違います。バックアップは元データと同じ物理ドライブに置いても、故障時に一緒に失われます。1台の容量だけで全用途を済ませる前に、各領域の必要量と保管期間を決めてください。
| 領域 | 主なデータ | 優先すること |
|---|---|---|
| 作業用SSD | 進行中の素材、プロジェクト、プロキシ | 編集時の読み書き速度と空き |
| キャッシュ領域 | プレビュー、メディアキャッシュ | 再生成できるデータの管理 |
| 保管用 | 完成案件、元動画、納品ファイル | 保存年数と容量単価 |
| 別系統のコピー | 失えない元素材、プロジェクト | 故障・紛失・誤削除への備え |
まず撮影素材のGBを求める
概算式は容量(GB)≒ビットレート(Mbps)×撮影時間(秒)÷8,000。8でビットからバイトへ、1,000でMBから10進GBへ変換します。50Mbpsで1時間なら50×3,600÷8,000=22.5GB、100Mbpsなら45GBです。音声やコンテナの分、可変ビットレートの変動があるため、撮影後は実ファイルの合計で上書きしてください。カメラの「4K」だけではビットレートが分からず、同じ解像度でも容量は大きく違います。
YouTubeの推奨アップロード設定では、1080pのSDR動画は通常フレームレートで8Mbps、高フレームレートで12Mbps、4Kは35~45Mbpsまたは53~68Mbpsを目安としています。これはアップロード用の書き出し値であり、カメラの元素材や編集用中間ファイルのビットレートではありません。元素材の容量見積もりに8Mbpsをそのまま当てはめないでください。
月4本の具体例:キャッシュと次の撮影分まで足す
月4本制作し、2か月分の8案件を作業用SSDに残す架空の計画例です。1案件の素材40GB、プロキシ10GB、書き出し5GBと仮定します。自分の素材で測った値に置き換えてください。
| 作業用SSDに置くもの | 計算 | 計画容量 |
|---|---|---|
| 元素材 | 40GB×4本×2か月 | 320GB |
| プロキシ | 10GB×8案件 | 80GB |
| 書き出し版 | 5GB×8案件 | 40GB |
| キャッシュ・画像・音声・プロジェクトなど | この例では合計40GBを仮置き | 40GB |
| 次に取り込む1案件 | 40GB×1案件 | 40GB |
| 使用予定の合計 | 320+80+40+40+40 | 520GB |
さらにドライブ全体の25%を空ける計画なら、520÷0.75≒693.3GBが必要容量の目安です。この25%は本記事の計画上の仮定で、Adobeが全利用者へ指定した固定条件ではありません。素材・プロキシ・書き出しだけの440GBで計算すると、キャッシュや次の撮影分を落としてしまいます。
この条件なら1TB製品を候補にできますが、OSやアプリも同じドライブに置くならその使用分を別に足します。ここでのGB・TBは10進単位です。1TB=1,000GBは約931GiBなので、OSに小さな数字が表示されても、そのまま容量不足と判断しないでください。フォーマット後の使用領域も含め、同じ単位で空きを比較します。
1年の保管容量は作業用とは別に計算
同じ制作本数で元素材を1年残すなら、40×4×12=1,920GB。完成版も1本5GBで残すなら5×4×12=240GBで、合計2,160GBです。これにプロジェクト・BGM・画像など再編集に必要なデータを足します。2TBではこの条件の1年分を収められません。別機器に同じ内容をもう1組保存するなら、コピー先にも同じ容量が必要です。作業用SSDの空きと、年間保管の容量を一つの数値で済ませないでください。
私の素材保存:容量が埋まるまで、または年末に整理
私の場合、動画素材はパソコンの決まったフォルダへ入れ、容量が埋まるまで置いておくか、年末に整理しています。公開後に一律で何日という期限を決めて消す運用ではありません。また、普段は動画の容量を減らすための圧縮はしていません。
このようにまとめて整理するなら、次の整理日までに増える分も保管容量へ足して見積もる必要があります。上の月4本・素材40GBは計算用の仮定で、私の実際の本数や容量ではありません。整理のタイミングと、故障に備えるバックアップは別々に決めてください。
購入前の計算手順
- 直近3回分の撮影素材をフォルダ単位で測り、平均と最大値を記録する。カメラの設定値だけで決めない。
- 月の制作本数と、同時に編集する案件数を分けて書く。撮影済みだが未編集の分も含める。
- プロキシの生成量、BGM・画像・字幕素材、書き出しの複数版、ソフトのキャッシュを足す。
- 作業ドライブに残す月数と、保管ドライブに残す年数を決める。消す基準は依頼者との契約も確認する。
- 空き容量の余裕と別系統バックアップの必要量を計算し、製品の公称容量と比較する。
- 最後にPCの接続端子、転送規格、電源、持ち運び、保証、返品条件を確認する。大容量でも接続が遅ければ作業効率は変わる。
Premiereの公式推奨は、高速SSDまたはNVMeの利用と、メディアキャッシュのローカル保存などを挙げています。ただし編集素材の形式やプロキシの有無で必要速度は変わります。ドライブ名の「最大転送速度」は実作業の持続速度と同一ではありません。購入前に機種とPCの規格を照合してください。
よくある失敗
- 書き出し容量だけで計算:元素材やプロキシの方が大きい場合がある。
- 1TBのドライブに1TB分の予定を入れる:空き不足でキャッシュや書き出しが止まる。余裕を見積もる。
- 同じSSDにコピーを置いてバックアップと呼ぶ:物理故障や盗難を分離できない。
- 安い外付けだけで編集:接続規格やケーブルがボトルネックになることがある。
- プロキシを削除できないまま蓄積:再生成可能なデータと保管必須のデータを区別する。
- 素材を圧縮して元ファイルを消す:再編集時に画質や音の情報が戻らない。必要な期間は元データを保つ。
費用と作業時間の考え方
SSD価格は容量・速度・購入時期で変わるため、ここで市場価格を固定しません。候補を2~3製品に絞り、作業用1台、保管用、別系統コピーそれぞれの購入額と更新費を見積もります。測定にかかる時間はフォルダ数と保管状況によって変わります。直近の案件から順に集計し、未確認のフォルダは未測定として残してください。高価なSSDを買う前に、この計算をする方が無駄な買い足しを減らせます。
実ファイルからの見積もりを更新する
案件ごとに「元素材」「プロキシ」「書き出し」「その他」を別々に測ります。親フォルダの合計を使った後で、その中のプロキシをもう一度足すと二重計上になります。ソフト共通のキャッシュは案件フォルダとは別欄にし、同じキャッシュを案件数だけ掛けないようにします。
撮影方式が変わったら、以前の平均容量を使い続けないでください。カメラを替えたり、フレームレートやコーデックを変えたりすると、同じ1時間でもサイズが変わります。最初の1回は撮影後のフォルダ容量と撮影時間を記録し、1時間当たり何GBかを計算します。次に字幕素材、BGM、編集プロジェクトと書き出し版の増加分を測ります。机上のビットレート式と実測が違えば、実測を購入判断に採用します。
長期保管をやめるときも、元素材だけを消してプロジェクトが開けなくなる事態を避けましょう。納品条件や再編集の可能性を確認し、保存対象を案件単位で決めます。たとえば完成版だけ残すのか、プロジェクトと使用素材をセットで残すのかを先に選ぶと、必要TBと保管費の計算が変わります。
FAQ
動画編集は1TBで足りますか?
1本の撮影量と同時進行数次第です。上の式で自分の実ファイルを使って算出し、作業用と保管用を分けて判断します。
YouTubeのビットレート表で素材容量を計算できますか?
表はアップロード用の推奨設定です。撮影元素材のビットレートが違う場合、その表では素材容量を正確に見積もれません。
SSDが1台あればバックアップできますか?
同じ機器上の複製だけでは機器故障を分離できません。重要度に応じて別の機器や場所にもコピーを用意します。
確認チェックリスト
- 素材の実容量を3回分測った
- 月の本数と保存期間を決めた
- プロキシ、キャッシュ、複数書き出しを足した
- 作業用と長期保管用を分けた
- 別系統のバックアップを見積もった
- PCの端子と製品の規格を確認した
編集PC側の条件はYouTube動画編集用パソコンの選び方も参照してください。
外付けを持ち運ぶ場合は、容量だけでなく紛失・落下時の影響も考え、案件素材の機密性に応じて暗号化や別の保管方法を選んでください。保管費には数年後の買い替えも含まれます。
容量表には単位を明記し、GBとGiBの数値を直接足さないようにします。
公式情報と確認日
YouTubeの推奨アップロードエンコード、Adobe Premiereのストレージ推奨を2026年10月3日に確認。容量試算は上記ビットレートと明示した仮定から計算した例です。

