YouTube Studioに「著作権」と表示されると、チャンネルが停止されるのではないかと不安になります。しかし、最初に確認すべきなのは、表示がContent IDによる著作権の申し立てなのか、著作権侵害の警告なのかです。
結論:Content IDの申し立ては通常、動画単位の処理であり、すぐにチャンネルへ警告が付くものではありません。一方、著作権侵害の警告は、妥当な削除通知によって動画が削除された状態です。慌てて削除や異議申し立てをする前に、通知の種類・対象区間・申立人・適用ポリシーを確認しましょう。
この記事では、YouTube運営歴9年・Premiere Pro使用歴9年の経験を踏まえ、BGMや映像素材に申し立てが付いたときの確認順と失敗を避ける考え方を整理します。
Content IDの申し立てと著作権侵害の警告の違い
名称は似ていますが、影響は大きく異なります。まずは次の表で自分の状態を見分けてください。
| 項目 | Content IDの申し立て | 著作権侵害の警告 |
|---|---|---|
| 発生のきっかけ | 登録済み素材との一致を自動検出、または権利者が手動で申し立て | 権利者から妥当な削除通知が提出された |
| 動画への影響 | 収益化・トラッキング・一部または全部の地域でブロック | 動画がYouTubeから削除される |
| チャンネルへの影響 | 通常はチャンネルやアカウントに影響しない | チャンネルに警告が付く |
| 主な対応 | そのままにする、対象部分を削除・差し替え、正当な理由があれば異議申し立て | コピーライト スクールと90日待機、撤回依頼、正当な異議申し立て通知 |
| 緊急度 | 適用ポリシーと公開状態を確認して判断 | 高い。通知内容と期限をすぐ確認 |
YouTube公式では、Content IDの申し立てにより「ブロック」「収益化」「トラッキング」のいずれかが適用されると説明しています。音楽では収益化が一般的ですが、地域や動画形式によって扱いが変わります。
申し立てを受けた直後に確認する5項目
確認フロー
通知の種類 → 対象区間 → 申立人 → 制限内容 → 使用権の根拠
- 「申し立て」か「著作権-削除」か:YouTube Studioの[コンテンツ]で[制限]列を確認します。
- どの部分が対象か:曲名、映像、対象時間を見ます。複数の申立人が付く場合もあります。
- 誰が申し立てたか:見覚えのない会社名でも、著作権管理団体や代理管理会社の可能性があります。
- 何が制限されているか:収益が権利者へ移るのか、地域ブロックか、全体ブロックかを確認します。
- 使用許可を証明できるか:利用規約、購入履歴、ライセンス、配布ページ、ダウンロード日時を確認します。
「無料素材だから大丈夫」「概要欄に名前を書いたから大丈夫」だけでは、異議申し立ての根拠になりません。 YouTubeは、権利者の明示、動画や曲の購入、収益化の無効化だけでは正当な異議申し立て理由にならないと案内しています。
Content IDの申し立てに対する4つの対応
1. 申し立てをそのまま受け入れる
素材の利用条件には違反していないものの、権利者が広告収益を受け取る条件だった場合などは、申し立てを残す選択肢があります。動画が視聴でき、収益面の影響を許容できるなら、必ずしも編集し直す必要はありません。
2. 申し立て対象の部分を削除する
YouTube Studioでは、新しい動画をアップロードし直さずに次の編集ができます。
- 申し立てを受けたセグメントをカットする
- YouTubeオーディオ ライブラリの曲に置き換える
- 対象の曲だけ、または対象区間の音声を消去する
注意:2025年6月以降、YouTube Studioエディタで編集した動画を保存すると変更を元に戻せません。保存前に必ずプレビューし、元の編集データも残しておきましょう。
編集歴が長くなるほど、公開済み動画だけでなく、BGMを差し替えられるプロジェクトと元素材を保管する重要性を感じます。YouTube上の簡易編集で声まで消えるおそれがある場合は、元データで差し替えて再編集する方が安全です。編集ソフトをまだ決めていない場合は、動画編集ソフトの選び方も参考にしてください。
3. 収益を分配する
YouTubeパートナープログラム参加者が音楽への申し立てを受けた場合、対象作品によっては音楽出版社と収益を分配できることがあります。ただし、すべての曲・動画で選べるわけではありません。
4. 正当な理由がある場合だけ異議申し立てをする
異議申し立てを検討できるのは、主に次の3つです。
- そのコンテンツを使うために必要な権利をすべて持っている
- フェアユースなど、適用される著作権の例外に該当する
- Content IDの誤認識やエラーだと考えられる
申立人には30日間の回答期限があります。申立人は、申し立ての取り下げ、維持、または著作権侵害による削除通知を選べます。正当な根拠のない異議申し立ては、動画削除や著作権侵害の警告につながる可能性があるため、感情だけで送らないでください。
著作権侵害の警告を受けた場合の対処
警告はContent IDの申し立てより重い状態です。YouTube公式によると、解除方法は次の3つです。
| 解除方法 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 90日待つ | コピーライト スクールを修了し、警告が適用された日から90日待つ | 修了しなければ警告は有効なまま |
| 撤回を依頼 | 削除通知を提出した権利者へ連絡し、撤回を依頼する | 丁寧に根拠を示し、強要しない |
| 異議申し立て通知 | 誤削除や著作権の例外に該当すると確信できる場合に提出する | 法的手続き。判断できなければ専門家へ相談 |
90日以内に著作権侵害の警告を3回受けると、チャンネルと関連チャンネルが停止される可能性があります。 期限が設定された削除通知では、7日以内に動画を削除すると警告を回避できる場合があります。一方、期限設定がない通常の警告は、動画を削除しても解除されません。
1~3分のYouTube Shortsは扱いの変更日に注意
2026年9月23日まで:1分を超えるShortsに有効なContent IDの申し立てがある場合、ブロックされる仕様です。
2026年9月24日以降にアップロードされた1分超~3分未満のShorts:有効なContent IDの申し立てがあっても自動的にブロックされず、YouTubeで再生できる場合があります。対象は新しくアップロードされた動画です。申し立ての内容とStudioの表示を確認してください。
Shortsの長さや投稿手順は、YouTube Shortsの作り方でまとめています。
「使ってよいはず」で困らないための素材管理
Premiere Proを9年使ってきた立場からおすすめしたいのは、動画ファイルだけでなく使った素材の根拠も一緒に保存することです。配布サイトの規約は変わることがあるため、ダウンロード時点の情報を残すと確認が速くなります。
| 残しておくもの | 確認できる内容 |
|---|---|
| 素材の配布ページURL | 出典と配布元 |
| 利用規約の画面・PDF | 商用利用、収益化、クレジット条件 |
| 購入履歴・領収書 | 正規ライセンスを取得した記録 |
| ダウンロード日時とファイル名 | どの版の素材を使ったか |
| 編集プロジェクト | 対象素材だけを差し替えるための元データ |
BGMを使う前の確認項目は、フリーBGMの著作権トラブルを防ぐ9項目で詳しく解説しています。声を聞きやすく保つ調整は、YouTubeのBGM音量の決め方も確認してください。
著作権トラブルを防ぐ公開前チェックリスト
- □ BGM、効果音、画像、映像の配布元を記録した
- □ YouTubeでの商用利用・収益化が許可されている
- □ クレジット表記の場所と書式を守った
- □ ライセンス対象のアカウントやチャンネルが合っている
- □ 購入履歴や利用規約を保存した
- □ テレビ、ゲーム、他人の動画が偶然映り込んでいない
- □ 異議申し立てに必要な根拠を説明できる
- □ BGMを差し替えられる編集プロジェクトを残した
収益化を目指す場合は、素材の著作権だけでなく、再利用コンテンツなどのポリシーも確認が必要です。条件全体はYouTube収益化条件の記事で整理しています。
よくある質問
Content IDの申し立てが来たら警告1回ですか?
いいえ。Content IDの申し立てと著作権侵害の警告は別です。Content IDの申し立ては通常、動画に影響しますが、チャンネルやアカウントには影響しません。
動画を削除すれば著作権侵害の警告は消えますか?
通常は消えません。ただし、期限が設定された削除通知で7日以内に削除できる場合は、警告を回避できることがあります。YouTubeから届いたメールとStudioの表示を確認してください。
数秒だけなら音楽や映像を使っても大丈夫ですか?
「数秒なら必ず安全」という一律のルールはありません。短くてもContent IDに一致する場合があります。使用許可または適用される著作権の例外を確認してください。
概要欄に著作権者を書けば使えますか?
権利者名を書くだけでは使用許可になりません。クレジット表記が必要な素材は条件どおり記載し、そのうえで利用範囲も確認します。
異議申し立ては取り消せますか?
YouTube公式では、一度提出した異議申し立ては取り消せないと案内しています。権利の根拠と通知内容を確認してから送信してください。
まとめ
著作権の通知を受けたときは、まずContent IDの申し立てと著作権侵害の警告を分けて考えます。申し立てなら、対象部分と適用ポリシーを確認し、受け入れる・削除する・差し替える・正当な理由に基づいて異議申し立てをする、の順で判断できます。
最も避けたいのは、根拠を確認せずに異議申し立てを送ることと、元データを残さずYouTube Studio上の編集を確定することです。 素材の利用条件と編集データを残し、次の動画でも同じトラブルを繰り返さない仕組みに変えていきましょう。
参考:YouTube「著作権の申し立てについて」/著作権侵害の警告について/著作権の申し立てに対して異議申し立てを行う/申し立てを受けたコンテンツを動画から削除する
ShortsのContent ID申し立てに関する仕様は、YouTube公式「Understand three-minute YouTube Shorts」を確認(2026年9月25日)。

